日本都市計画学会北海道支部長 
小松 正明

この度、支部会員の皆様のご推挙により、2019-20年度の日本都市計画学会北海道支部長を拝命しました小松正明です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、日本都市計画学会の北海道支部は、今から12年前の2007年に初代支部長の佐藤馨一先生の下で設立されました。第T期(2011-12年度)の小林英嗣支部長のときに、「北海道支部の『かたち・ひと』づくり」をテ−マとして、HPの作成、支部研究発表会、都市・地域セミナ−、支部だよりの発信、という現在の活動の骨格がつくられました。第U期(2013-14年度)は太田清澄支部長の下、「北海道支部の展望づくり」がテ−マで、担い手の育成と周辺学問領域との交流促進を強化するとともに、「都市と田園」という統一テ−マで研究発表会を行うなどの活動を行ってきました。そして、田村亨支部長の第V期(2015-16年度)のテ−マは「北海道支部の自立」で、都市計画やまちづくりの実践を北海道から発信することを目標に掲げ進められてきました。

 さらに西山徳明支部長による第W期(2017-18年度)は、「北海道支部と地域の連携」をテーマとして掲げて活動を継続され、特筆すべきことは西山支部長がご専門の観光分野にも党支部活動のウィングを広げたことでありましょう。都市計画学会といいながら、都市問題にフィールドを限定せず、広い視野に立った地域振興や地方創生にも研究の視点を広げた功績は大きなものがあります。
 またこの間の2017年には、本支部が受け皿となって日本都市計画学会の全国大会も開催し成功を収められております。
 このような伝統を受け継ぐことは大任ですが、私なりに責任を全うして参りたいと思います。

 さて、現在の北海道における都市計画分野をめぐる喫緊の課題は、人口減少社会の中で地域の暮らしをどのように維持していくか、ということになるでしょう。
 第八期北海道総合計画を読み解いてゆくと、人口減少局面に入ったわが北海道における地域の問題は、「いかに稼いで収入を増やすか」「いかに行政を効率化して歳出を減らすか」「いかに地域の魅力を高め幸福感を増大するか」そして「災害や変化に以下に備えるか」ということに尽きるように思われます。

都市問題で言えば、効率化してコストを縮減する観点から、かつては『コンパクト化』が叫ばれましたがその後都市空間がまだら模様に劣化していく『スポンジ化』が大きな課題となりました。広がった都市をいかに畳むかについて都市計画の手法としては、地域が自らのまちの方向性を定めてそれを実現する「都市立地適正化計画」を策定する制度を作られました。しかし市や町が今後これを実際に運用していくためには地域住民を巻き込んだ大きなハードルがあることも予想されます。都市のコスト縮減はどのように実現されるでしょうか。
 
 一方、北海道においては地域の「稼ぎ」の主流になっている豊かな農林水産業や大地を切り拓きそれを守り育ててきた建設業などの2次産業にも、人口減少の波は押し寄せており、私たちの未来の社会をサステイナブルに支える力を維持することが年々歳々難しさを増しています。地域の「稼ぎ」の力を維持するためには都市の力が必要であり、その都市の力を支えるのは地域の「稼ぎ」「暮らし」「魅力」に外なりません。


 このような問題意識の中で、前西山支部長は、「このような競争の渦中にある地域が取り組むべき課題は、産業振興や企業誘致といった王道のほかに、地域の資源や景観、環境をフルに活用した交流人口の拡大、すなわち地域を広義の観光目的地=デスティネーションと再認識し経営=マネジメントすることによる『定住・移住促進』『雇用創出』『生きがいづくり』などになるのではないか」と言っておられます。
 今日「交流人口」は発展して「関係人口」というキーワードで語られることが増えていますが、その関係人口を増やす上でもますます地域の魅力と価値を高めるようマネジメントする能力の向上やそれを観光の領域として発信して行く力が求められます。
 そしてこれらの活動の主体は今や市町村などの基礎自治体に留まらず、企業やNPO、ボランティア団体、個人の起業家そしてDMOなど多岐に渡ります。

 私たちは都市計画学会北海道支部の活動として、こうした課題を様々な地域や地域の人材、研究者、実務者たちと共有し、幅広い領域から多様に議論し合う場となること、また、年代や職業、立場を超えた議論から実務上のヒントを得られる場として、また参加者の自己研鑽の場として、その機能を高められるよう精一杯の努力をしていきたいと思います。

 人口減少など課題が真っ先に訪れる地方である北の大地をフィールドとして、北海道支部会員の皆様からは、様々なアイディアやご提案、ご意見を頂戴するとともに、支部活動の運営へのご協力をいただけますようよろしくお願いいたします。 

 (令和元年6月1日 公開)


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